USCPAに挑戦する人で、転職によるキャリアアップを考えている人は多いでしょう。
その転職先として最もメジャーであり、選択肢に入れる人が多いのが監査法人です。監査法人は日本の公認会計士試験に合格して入所する人が多いですが、最近はUSCPA合格者も増えています。
実際にUSCPA合格後に監査法人に転職した私が、USCPAで監査法人に転職するメリットや、実際に働く時の注意点を紹介していきます。

USCPAがあれば監査法人に転職できる!
そもそもUSCPAで監査法人に転職できるのか、という部分が気になると思いますが、USCPA全科目合格者は監査法人への転職は難しくないです。
監査法人は慢性的な人手不足です。単純作業については非資格保有者への業務移行を進めている法人がほとんどですが、まだまだ人は足りません。
日本の公認会計士で監査法人以外の仕事を選択する人が増えていることもあり、USCPAでも日本の公認会計士とほぼ変わらない条件で転職することが可能です。
実際に私が転職した時の体験談は以下の記事でまとめているので参考にしてみてください。
USCPAが監査法人で働くメリット
USCPAが監査法人で働くメリットは、USCPAで学んだ内容に関連する実務経験を積めることです。
経理や経営企画等にも転職のチャンスはたくさんありますが、監査法人(の特に監査職)は資格保有者でないと経験することが難しいです。
監査においてどのような点を重点的に見られるのか、ということがわかる人材はその後経理や経営企画でも重宝されるでしょう。
USCPA取得後の最初の転職先としては、豊富な会計関連実務を経験できる監査法人をおすすめします。
監査法人から見たUSCPAの評価(転職面接時)
日本の公認会計士合格者でなくUSCPA合格者である、ということは良くも悪くも監査法人への転職ではそこまで重視されません。
日本の公認会計士は試験後に一斉採用される人が多いので多少違いはありますが、転職の面接として特殊なフローはなく、USCPAだから日本の公認会計士より評価が低くなるということもありません。
というのも日本の公認会計士でもUSCPAでも監査法人に入所後の業務にも待遇にも大きな差がないからです。普通に働いていたら誰がUSCPAか分からないくらい差がないです。
USCPAとして英語ができることは期待されるかもしれませんが、国内の監査クライアントに関する業務では英語を使う機会も多くないので、そこで減点されることもないでしょう。
USCPAの現場での評価
実際に監査法人で働く公認会計士にUSCPA合格で入所してくる人の印象を聞いてみたところ以下のような評価でした。
- 日本の公認会計士との差は感じない
- 仕事覚えが早い人が多い(社会人経験ありの人が多いから?)
USCPAだから、というよりも社会人経験ありで転職する人が多いという点が大きいですが、ポジティブな印象を持たれていました。
実際に働いていてもUSCPAかJCPAかを意識する場面はほとんどないので、社会人経験を活かしながら日本の公認会計士と同じように活躍している人が多いということですね。
USCPAが監査法人で働く時の注意点
USCPAは基本的に監査法人内で日本の公認会計士同等に働くことができますが、一部制限があるなど注意点もあるのでいくつか紹介します。
知識量は日本の公認会計士に劣るので自己研鑽必須
試験合格直後で考えると、日本の公認会計士と比較してUSCPAの会計知識はかなり不足しています。
試験内容やボリュームに差があるのでこれは仕方ないことですが、業務をしながらキャッチアップしていく必要があるので自己研鑽は必須です。
また日本の公認会計士試験合格者は資格登録前に3年ほど補習所というところに通い、定期的に試験を受けるなど知識をブラッシュアップしています。そのためUSCPA合格後も会計知識を身につけていかないと差は広がるばかりです。
ただし監査法人入所直後に使うのは会計というより監査(AUD)の知識が主であり、研修も充実しているので入所前に会計知識が豊富でない点は全く心配ありません。不安な人はAUDをよく復習しておけばOKです。
法人によってはインチャージ業務に制限がある
インチャージ業務とは、監査チームにおける現場リーダー的なポジションです。小さな監査クライアントであれば3~5年目、大きなクライアントであれば5~8年目くらいの人が担当します。
下には現場メンバー、上にはマネージャー・パートナーがいる中間管理職であり、入所直後の現場メンバーにとってはまず目標とするようなポジションです。
しかしこのインチャージ業務ですが、USCPAは担当できないとしている法人もあります。(主に上場企業をクライアントとするチームが対象であることが多い。)
USCPAでもが海外クライアントや小規模クライアントを担当することで、昇進等には影響がないようですが、国内の大規模クライアントや上場企業のチームでリーダー的なポジションを目指したい人は法人の方針をよく確認するようにしましょう。
外資系クライアントに関われるとは限らない
USCPAで監査法人に入所したからといって、外資系クライアントのチームに配属されるとは限りません。
良くも悪くも日本の公認会計士と同等の待遇としている法人が多いので、よっぽど強い希望と高い英語力がない限りは日本の公認会計士同様に国内企業のチームに配属されることが多いです。
逆に英語が得意ではなくても国内企業の監査チームに仕事はたくさんあるので心配ありません。私は英語が得意ではないので国内企業の監査を希望して、配属は全て国内企業の監査チームでした。英語は英文開示のチェックくらいでしか使っていません。
もし外資系企業を中心に監査したいなどの希望があれば、面接などではっきりと伝えることをおすすめします。ここは法人によってかなり対応が変わってくる部分なので希望を聞いてくれそうなところを選びましょう。
監査法人以外の選択肢
USCPA合格後のキャリアとして監査法人は非常におすすめですが、それ以外にも魅力的なキャリアパスがあるのでいくつか紹介します。
コンサルティングファーム
USCPAは会計・財務分野におけるコンサルティングを行う企業、部署でも活かせます。監査法人のアドバイザリー部門も近い選択肢になりますが、より経営戦略などの支援に関わっていきたい方にとってはUSCPAを活かしながらコンサルティングファームで働くと良いでしょう。
事業会社の経理・財務
事業会社の経理・財務も会計の実務経験を積むにはとても良い環境です。USCPAとして入社する場合は外資系企業や国内企業の海外拠点なども狙えるかもしれません。
一方で未経験で転職するには条件が悪かったり、そもそも未経験を募集していない場合も多いので監査法人を経由して、次のキャリアとして目指すのでも良いでしょう。
金融機関
金融の業務において会計知識は必須であり、USCPAとして会計知識を示すことができればハイクラスな転職も可能です。
特に資産運用やリスク管理業務には財務分析が不可欠であり親和性が高いので、金融分野で専門性を高めていきたい人にはおすすめです。
私も監査法人入所前に資産運用会社で働いた経験があり、会計知識を活かせる場面が非常に多かったのでUSCPAの勉強をしました。(その後監査法人に転職してしましましたが、、)
まとめ
USCPAに合格できれば監査法人に十分転職可能です。
監査法人では基礎から会計実務を経験できるので、その後のキャリアにも大きく貢献してくれます。監査法人に興味がある人や会計の専門知識を身につけてキャリアアップしたい人はぜひUSCPAを取得して目標を叶えてください。
