中小企業診断士最後の試験となる口述試験。これまでの試験と異なり「面接形式」なので不安に感じる人も多いと思います。
口述試験はほとんど落ちないと聞いたけど本当かな?
緊張でうまく話せなかったらどうしよう?
口述試験の合格率がとても高いのは事実だけど油断は禁物です。
しっかり対策して万全の状態で口述試験に挑みましょう!!
口述試験とは
口述試験は、2次の筆記試験に合格した人のみが受験できる面接形式の試験です。この試験を突破できたら晴れて試験合格となります。
試験日程
令和6年度の試験日程は以下のようになります。(詳細は中小企業診断協会のHPもご確認ください。)
第2次試験(筆記)合格発表 | 令和7年 1月15日(水) |
第2次試験(口述) | 令和7年 1月26日(日) |
第2次試験(口述)合格発表 | 令和7年 2月5日(水) |
口述試験の合格率
口述試験の合格率は毎年99%以上です!
基本的に不合格になることはないと考えてよいでしょう。
毎年数人の不合格者が出ていますが、不合格になる人は以下いずれかのパターンだと考えられます。
- 何らかの理由で試験会場に行けなかった人
- 面接中に長時間沈黙してしまった人
ほとんどが前者の理由だと考えてよいです。1000人ほどが同じ日に受験するので1人くらいは体調不良や交通トラブルで受験できない人がいても不思議ではありません。
また面接形式の試験ですので「何も答えない」という状態になってしまうと合格は出来ないです。緊張で言葉が詰まるのは問題ないですが沈黙しすぎないように注意しましょう。後程紹介する試験対策を行うことで当日の答えられないということはなくなると思うので参考にしてください。
口述試験の持ち物
口述試験当日の持ち物は
- 受験票
- 2次筆記試験の与件文
- 予備校などの想定問答
必須は受験票のみです。これさえあれば受験は出来ます。
待ち時間などに与件文の見直しや想定問答の確認をしたい人は追加でそれらを持って行っても良いでしょう。ただし口述試験では建物内で電子機器の使用は禁止されています。待合室でもだめです。
なので与件文などを持っていく人は紙の状態で持て行くようにしてください。
口述試験当日の服装
口述試験当日の服装は基本的にスーツで行けば間違いないです。
服装の指定はないですが、私が受験した時に周りにいた受験生はほぼ全員スーツでした。
ビジネスの場で違和感のない清潔感のある服装であれば減点されることはないと思いますが、余計な心配をせず試験に集中できるようにスーツで臨みましょう。
口述試験当日の流れ
試験時間は約10分です。当日の流れは大まかに以下のようになっています。
- 試験会場到着、待機
- 本人確認、注意事項説明
- 試験室前で待機
- 試験本番(約10分間、質問4つ程度)
- 退出
試験会場到着、待機
試験会場の入り口で受験票の確認をされます。それが終わると一時的な待機場所として大きめの部屋に案内されます。
ここでは皆さん与件文の確認などをしているようでした。この時間に最終確認をできますが、待合室で電子機器は使えないのでご注意ください。
本人確認、注意事項説明
係の人から「受験番号○○番~○○番の人」という形で移動するようにアナウンスがあり、移動先の部屋で一人ずつ本人確認や注意事項の説明が行われます。
全員の確認が終わったら数人ずつ各試験室の前に移動して待ちます。
試験室前で待機
自分が試験を行う試験室で前の人が試験中だったら入り口の椅子で待機します。
前の人が退出して数分後に入室するように指示されると思うので、時間を見て入室します。(入室タイミングは係の人に指示されるのでそれに従ってください。)
試験本番
試験室に入室すると面接官が2,3人います。荷物を置いて着席したら試験開始です。
受験番号や氏名の確認を行った後に2次筆記試験の事例に対して質問されます。試験時間は10分程度とされていますが、私は入室~退室までで8分でした。受験生の人数はかなり多いので時間が押していたら早めに終わることもあるようですね。
試験の質問形式としてよくあるパターンは「2次筆記試験から2つの事例が選ばれて各2問、合計4問質問される」というパターンです。私もこれでした。各質問2分弱で答えていくイメージですね。
質問の内容は以下の3パターンが考えられます。
- 2次筆記試験の設問とほぼ同じ
- 2次筆記試験の設問を少し深堀りする
- 2次筆記試験の設問とは違う視点から
私の場合は各事例の最初の質問が上記①または②の筆記試験を踏襲したもので、2つ目の質問で③の設問とは違う視点を聞いてくるような感じでした。
質問内容は人によって様々だと思うのであくまでも参考と考えてください。
試験が終了したら試験室を退出して終了です。特に手続等はないのでそのまま帰って大丈夫です。
口述試験の対策方法
2次筆記試験の合格発表から口述試験までは1週間~10日くらいしかありません。
対策できる期間は長くないですし、長期間かけて対策する必要もありません。最も重要な試験対策は体調管理です。
ただし全く対策なしだと不安になるので、私が取り組んだ試験対策を紹介します。
与件文の読み込み
与件文の読み込みが一番大切です。口述試験では資料の持ち込みは一切できないので、ある程度は事例に登場する企業の基本情報を覚えておかなければなりません。
その時に事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳというように数字で覚えるのではなく、何をしている企業かで覚えましょう。面接官は「事例〇の企業で~」とは言わない可能性が高いので、「○○を製造するA社は~」というよう聞き方に対応できるようにしましょう。
「A社」や「X市」のような表現は普通に使ってくるので、アルファベットとその企業や市の特徴は結びつけて覚えておくといいと思います。
与件文は2次筆記の合格発表後から各事例を毎日1回読んでいればほとんど頭に入ると思います。下で紹介する設問や模範解答のチェックなどをしている過程で覚えていきましょう。
2次筆記試験の予備校の模範解答をチェック
次に各予備校が公開している筆記試験の模範解答をチェックしてみましょう。予備校によって模範解答が全然違うことも多いので2つ以上探してみるといいです。
私はTacと大原の模範解答を参考にしました。どちらも無料で公開されているので独学で勉強していても簡単に手に入ります。
予備校の解答を参考にすることで、プロが考えた無駄のない解答を知ることができるので口述試験でも活用できます。もちろん自分で作った内容が模範解答と近かったら自分が話しやすいように話せば大丈夫です。
筆記では的外れなこと書いてしまったという問題や、全然わからなかった問題があった人は素直に模範解答ベースにしましょう。そのうえで口述試験で聞かれたらこんな感じで答えるかな~と考えてみてください。
自分らしい解答を考える
予備校の模範解答を確認・理解できたら、次はオリジナリティを出せそうなところを考えます。
口述試験では基本的に予備校の模範解答をベースに解答を考えた方がいいと思います。なぜなら2次筆記試験に合格していても面接で聞かれる内容に関連した設問の点数が良かったかはわからないからです。
ただ、自分らしさを出せるポイントを考えておくことで得られるメリットがあります。
それはネタ切れになりにくいことです。
基本は各予備校の模範解答に沿って答えれば良いですが、要素が足りていないと面接官は追加で質問をして解答要素を補えるように助けてくれます。そんな時に自分なりの答えもすぐに出せるように準備できていれば追加の質問にも答えやすいですし、それで沈黙も避けられます。
また口述試験の質問は、半分くらい筆記試験の設問と異なる内容を聞いてきます。難しいことを聞かれるわけではありませんが、初めて聞かれる内容だと焦ってしまうこともありますよね。
そんな時に、自分なりの意見も事前に整理しておけば、答えの引き出しが増えるのでいろいろ思いつきやすくなります。少しくらいまとまりが悪くても沈黙するよりは意見を伝えた方がいいので答えの引き出しは増やしておいて損はないでしょう。
各事例、筆記試験の設問にスラスラ答えられるようにする
各事例の筆記試験の設問に何も見ずにスラスラ答えられるようになれば完璧です。
2次筆記試験の問題用紙で設問が書かれているページだけを見ながら設問に答える練習をしてみましょう。うまく答えられなかった問題は予備校の模範解答と必要であれば自分の再現答案などを見て確認しましょう。
ここで回答が1分にも満たない問題があったら何か自分なりの答えを追加できないか考えましょう。
それでも時間が足りない場合は、答える前に
「それでは~について説明させていただきます。」
「〇〇業界の場合、一般的には~と考えられますが、B社では~」
というように解答の方向性を示す言葉や、一般論を示す言葉を加えてみてください。
試験本番は緊張するので、前置きを入れると答える前に頭の中を整理することができて落ち着いて答えられると思います。
前置きも含めて1分30秒程度話せるように調整して練習しておくといいと思います。筆記試験の設問そのままの質問もあるのでしっかり練習しておきましょう。
まとめ
口述試験についてまとめると
- 合格率はほぼ100%なので心配ない
- 受験票だけは絶対に忘れない
- 服装はスーツがおすすめ
- 試験対策は2次筆記試験の問題をベースに行う
口述試験に合格すれば、中小企業診断士試験は完全合格になります。
合格率はほぼ100%なので体調管理に気をつけて、合格を勝ち取ってくださいね!