過去問、活用できてますか?
中小企業診断士の勉強で過去問をどれくらい使っていますか?
- 試験が近くなったらまとめてやればいいかな?
- まだ過去問やっても全然わからないから勉強が進んでからにしよう
- 過去問よりテキストと問題集の反復!
このように思っている人は要注意です。
今回は合格にぐっと近づく過去問の活用法、取り組むべき時期、取り組むべき量など過去問の全てをお伝えします。
勉強初期の過去問活用法
過去問に取り組む目的
中小企業診断士の勉強において過去問が最初に登場するのは勉強の開始直後です。
勉強開始直後なんて何もわからないでしょ?
そう思った人、正解です。それでいいんです。
ただし、むやみに取り組んでも意味がないのでこの段階では過去問に取り組む目的を理解することが重要です。
その目的とは「自分は何がわからないかを知る」ということです。
そのため理想は全科目の過去問をやってみることです。(1次のみでOK)
でも急に7科目も過去問をやるのは大変ですよね?
そこで私がおすすめするのが7科目の中である程度なじみがある科目の過去問に取り組んでみることです。できれば3科目くらいはやってみたほうがいいでしょう。
中小企業診断士試験は1次試験が7科目あり出題分野が広いので、さっぱりわからないであろう科目が必ずあると思います。
そういった科目は素直にテキストに従って勉強を進めればいいので、自分がわからない部分を抽出する目的で過去問をやらなくても大丈夫です。結局全部わからないので。
逆に試験範囲が広いので内容になじみがある科目もあるはずです。大学で勉強したことがあったり、仕事で関わる機会があったりする科目は時間をかけて勉強する必要がないものもあります。
過去問に取り組むことでそのような点を明らかにして、勉強を効率的に進められる準備を整えましょう。
実際の取り組み例
私は大学で経済学や経営学を学んだので、勉強開始時には
- 企業経営理論(経営学関係)
- 財務・会計(少し簿記の勉強をしていたので)
- 運営管理(やってみましたが生産管理はさっぱりでした笑)
- 経済学・経済政策(経済学関係)
の4科目をやってみました。
そこで企業経営理論と経済学・経済政策は60点くらいで合格に近いことが分かったので、勉強時間を他の科目に回すという戦略が立てられました。
逆にある程度できるかなと思っていた財務・会計と運営管理は全然点数が取れなかったのでしっかり勉強する必要がある科目と認識しました。
このように現時点で自分がどの程度の位置にいるのかがわかればその後の戦略を立てやすく、効率よく勉強することができます。
過去問に取り組む時の注意点
早速過去問をやってみようと思った人は素晴らしいです。しかし過去問に取り組むときの注意点が一つあります。
それは新しい過去問を解いてはいけない、ということです。
これは意見が分かれる部分だと思うので異論は認めます。
まず、過去問は非常に貴重で最も強力な勉強道具です。過去問は自分の実力を測定するという意味でもとても有効です。
しかし、解けるか解けないかわからない勉強開始直後に最新の傾向が反映された過去問を消費してしまうのは非常にもったいないです。新しい過去問は勉強が進んできた段階で「初めて解く過去問」として実力を測ることに使いたいので、できれば残しておきたいです。
この「テスト用の過去問」を3年分くらいは残しておきたいので(私は5年分残しました)、勉強開始直後の過去問としては新しい過去問は使わない方がいいです。
過去問は繰り返し解くものだから新しいものから使っても問題ない!
最近の傾向を反映した最新のものの方が実力が正確に測れる!
という人もいると思います。
特に予備校に通っている人だといろいろな先生の意見を聞くと思うので、最も信頼できる人の意見に従って自信を持って学習を進めてください。ただ個人的に、少なくとも独学で受験する人は最新の過去問を浪費するようなことはしてほしくないです。
知識が身についていない段階では法改正や出題傾向に点数が左右されることはないと思うので、しかるべき時まで温めておきましょう。
過去問の入手方法
中小企業診断協会の公式ホームページには過去問と解答が公開されています。無料でダウンロードできるので、それを活用してみてください。
解説はないですが、最初はそこまで厳密に復習する必要もないので気楽に解いて採点してみましょう。試験時間も特に気にしなくていいと思います。最初はわからない問題が多いので時間が足りないということはないはずです。
解き始める年度の目安ですが、平成19年から載っているのでそこまでさかのぼってもいいですし、過去問に取り組む時間をたくさん確保できるかわからない人は8年前くらいの過去問から解き始めるといいと思います。
普段の勉強中での過去問活用法
定期的に実力を測る
過去問を使って自分の実力を把握したら、しばらくテキストと問題集で勉強を進めるようなイメージになります。
ここで過去問はしばらくやらなくていいのかと言われたら、それは間違いです。
過去問を通して合格までの距離を知ることができるので、勉強を進めながら定期的に取り組んで自分の実力を確認するべきです。せっかく中小企業診断協会の公式HPに10年以上の過去問が無料で公開されているので活用していきましょう。
定期的にというのは個人差がありますが、月に1回過去問を解く機会を設けるといいと思います。全科目でなくてもいいので「月末にその月に力を入れた3科目の過去問を解く」くらいでいいと思います。
試験時間を意識してみる
過去問に取り組む時は少しずつ試験時間を意識していきましょう。
厳密である必要はないので「思い出せそうだから少し粘る」程度なら時間をオーバーしても大丈夫です。自力で解く力が身についているか確認することが大切です。
慣れてきたら時間制限を少しずつ厳しくしていくと問題の処理スピードを上げる練習にもなるので良いです。過去問に取り組んだら記憶が新しい間に自己採点することを忘れないでくださいね。
勉強計画を見直す
試験時間を意識しながら過去問に取り組んだら、その結果をもとに勉強計画を見直してみましょう。
高得点が取れた科目は勉強時間を他の科目に割り当てても良いです。全然得点が伸びない科目は勉強方法を見直したり、過去問とテキストを並べて丁寧に復習することで確実に実力がついていきます。
財務・会計や経済学・経済政策などの「理解重視科目」は点数が伸びにくく、理解が進むと急激に点数が伸びるという傾向があります。経営情報システムのような「暗記重視科目」は点数の伸び方が全然違うこともあるでしょう。どちらにしても過去問で自分が合格点までどれくらいの段階にいるか確認することが重要です。
理解重視科目では「なぜそうなるのかわからない」のか「慣れていないせいで計算ミスが目立つ」のか、といったことが過去問の復習で確認できるので、その後の勉強計画に役立ててください。
一度実力を測るために解いた過去問は実力測定にはあまり使えません。何度解いてもいいので日々の学習に取り入れて満点が取れるレベルに仕上げましょう。
過去問題集を活用する
この段階からは中小企業診断協会のHPにある過去問だけで勉強すると解説がなくて大変です。ある程度勉強が進んでいてテキストで見直せる人は大丈夫ですが、素早く必要な部分を学んで効率的に進めたい場合は過去問題集を使うと良いでしょう。
以下のTacの過去問題集であれば毎年直近5年分の問題と解説がまとまっているので、最新のもの1冊と5年前のもの1冊を買えば10年分の解説を手に入れられます。古いものはアマゾンなどで探せるので解説が欲しい人は探してみてください。
ちょうど10年分を手に入れるために5年前の過去問題集が欲しいのは他の受験生も同じなので、価格が高騰している可能性があります。(試験が近い場合は特に)
4年前、6年前などにすると安く買えることもあるのできっちり10年分なくても良い人は年度をずらしてみてください。
試験直前期の過去問活用法
試験前に実力を確かめる
ここまで勉強を重ねてきた人は、最後に実力を確かめる目的で過去問に取り組みます。
これは試験本番の1か月~1週間前くらいが目安です。時期については取り組んでいない新しい過去問を何年分残しているか、ということから逆算してください。
ついに、温存していた最新の過去問の登場です!
取り組み方としては、各科目制限時間を厳密に測って解いてください。時間内に合格点を取れる実力がついているかしっかり確認していきましょう。
また覚えきれていないところや計算が曖昧なところがあればテキストに戻って徹底的に復習し、死角をなくしていきましょう。
本番の予行演習
ぜひ皆さんにやってほしいのが「本番と同じスケジュールでの予行演習」です。
1次試験は2日間かかってしまいますが、できる人は全員やった方がいいです。
受験票や中小企業診断協会HPに記載されている試験時間割に沿って1日目に4科目、2日目に3科目に取り組みましょう。
科目ごとの頭の切り替えを練習できますし、当日の疲れ具合もイメージできるので甘いものを持っていくなどの対策もできます。私はシミュレーション後に糖分補給が必須だと思ったので大学受験の時から使っていたブドウ糖を準備しました。チョコなどもおすすめです。
しっかり着替えて、当日使う予定の時計で時間を見ながらやるとよりリアルな雰囲気でできるのでおすすめです。
実際、私は試験の3年前に7科目の大学入試センター試験(今の共通テスト)を受験していたので大丈夫だろうと思っていましたが結構疲れました。しばらく長時間の試験をやっていない人は特にシミュレーションしておくと安心です。
これを最新の過去問か2年前の過去問でやるとだいぶ試験本番では落ち着いて取り組めると思います。体力に自信がある人は2セットシミュレーションしても良いでしょう。(笑)
あまり直前すぎると実力不足の範囲がわかったときに対策できないので、余裕をもって最終確認に臨んでください。
まとめ
過去問の具体的な使い方はイメージできましたか?過去問は
- 勉強を始めてすぐ
- 勉強を進める段階
- 試験本番の直前
このどの段階でも実力を把握する上では必要不可欠です。
中小企業診断協会のHPでも公開されている過去問を上手に活用して、合格までの距離を見極めながら効率的に勉強を進めていきましょう。