
USCPAってなに?
日本の資格じゃないの?
試験は難しいのかな?

USCPAはアメリカの公認会計士資格だよ!
USCPA試験に合格しているがおが詳しく解説していくね!
USCPAとは?
USCPA(米国公認会計士、U.S.Certified Public Accountant)は米国の公認会計士資格で、各州が認定しています。
米国の資格なので、米国内(登録した州)で監査などの独占業務をすることができます。日本での独占業務はないので国内で働く人にとっては資格に与えられた独占業務を直接活かして何かできる、というわけではありません。
しかし、USCPAで勉強する米国会計基準(US.GAAP)や国際会計基準(IFRS)に関する知識はグローバル企業で高い需要があります。日本企業の海外進出に伴う会計監査や、グローバル企業の日本進出など国際的なビジネスで活躍の場が広がっています。
試験は英語で行われるため、高い英語力の証明にもなり、監査法人や会計事務所に限らず広く一般企業の経理や経営企画などにもキャリアを広げることができる資格です。
試験内容
USCPA試験は、2024年に新試験制度に移行しました。移行後は必須3科目+選択1科目の試験になっています。

試験はテストセンター等でPCを用いて行われる方式で、全て英語で実施されます。日本では東京と大阪で受験可能です。
出題は主に2つの形式があります。
- 選択式のMC問題(Multiple Choice)
- 事例に基づき計算や資料の読み取りを行うTBS問題(Task Based Simulation)
クライアントにビジネスレターを作成するWC問題(Written Comunication)←廃止
※WC問題は旧BECのみで出題されていましたが、2024年の新試験制度移行に伴って廃止されました。
試験の難易度、合格率
USCPAは難易度の高い資格で、予備校などでは合格まで1年半程度かかるとされていることが多いです。
実際に私は合格までアビタスで2年勉強しました。働きながら1年半はかなり効率よく勉強できる人の期間かなというのが個人的な感想です。
合格率については、日本の公認会計士などの難関国家資格と比べると高めで、試験も通年受験可能なのでそういった意味では働きながら十分合格を目指せるレベルの資格ではあると思います。
2024年の各科目の合格率は以下の通りです。
科目 | 1Q | 2Q | 累計 |
---|---|---|---|
AUD | 44.63% | 46.58% | 45.71% |
FAR | 41.92% | 40.58% | 41.16% |
REG | 63.43% | 63.45% | 63.44% |
BAR(選択科目) | 42.94% | 40.26% | 41.04% |
ISC(選択科目) | 50.93% | 57.93% | 56.15% |
TCP(選択科目) | 82.36% | 75.67% | 78.16% |
英語で実施される試験なので、日本人はこれより少し低くなります。それでも合格率は決して低くないのでしっかり勉強すれば合格レベルには必ず到達できます。
少し古いですが2022年の日本人合格率は以下の通りです。
科目 | 全体合格率 | 日本人合格率 |
---|---|---|
FAR | 43.8% | 36.7% |
BEC | 59.9% | 46.8% |
AUD | 47.9% | 38.9% |
REG | 59.6% | 42.5% |
私はUSCPA勉強開始前のTOEICスコアは600点程度です。このスコアは大学1年の時のもので、英語の勉強は2年以上全くしていなかったので実際にはもっと低い英語力で開始しています。
英語ができるに越したことはないですが、過度に恐れなくても大丈夫です。勉強を続けていると自然と慣れてきますし、問題には数字も多いので全く解けないということはありません。
当然ですが、英語が得意という方は非常に有利で合格率はかなり上がると思います。
勉強時間の目安
USCPAに合格するまでに必要な勉強時間は1,000〜1,500時間言われています。
簿記や会計士の勉強をしたことがある人、英語が得意な人は勉強時間を短縮できますが、そうでない方は会計+英語の勉強になるので時間がかかります。
ただ、日本の公認会計士試験は合格までに3,000〜5,000時間の勉強が必要と言われるので、それに比べると少ない勉強時間で合格を目指せます。
難易度が高い資格ではありますが、ほとんどの人は働きながら取得を目指す資格なので、仕事との両立は比較的しやすいと思います。
受験資格
USCPA試験の受験資格は、出願する州によって異なります。
試験内容はどの州に出願しても同じなので、出願条件をクリアしやすい州を選んで出願することになります。
日本で受験する場合に出願しやすい州は以下の4つです。
- ニューヨーク州
- アラスカ州
- モンタナ州
- グアム
出願条件には主に、学歴要件と単位要件があり、学位要件については4年制大学卒業、単位要件については会計単位+ビジネス単位で取得数の基準が設定されています。
上記4州で学歴要件について、アラスカ州では4年制大学卒業が条件になっています。
ニューヨーク州、モンタナ州、グアムは大学を卒業していなくても受験可能です。ただし、取得単位総数の基準はあるので(120単位)短大や4年制大学を卒業している方が受験資格を満たしやすいです。
詳細は以下の記事で解説しているので参考にしてください。
USCPAの講座があるアビタスやCPA会計学院などの予備校では、大学の成績証明書などを送ることで無料の単位診断をしてくれます。
自分がどの程度受験要件を満たしているか把握することができるので、受験を考えている人はとりあえず診断してもらうのも良いと思います。
合格後のキャリアパス
USCPAを取得すると、グローバル展開する企業や外資系企業での就職・転職の武器になり、キャリアアップの可能性が広がります。
そのキャリアパスは多様で、監査法人や事業会社、FASやコンサルティングファーム、外資系企業などがあります。
監査法人
USCPAは米国で監査業務を行える資格であり、日本での独占業務はないものの近い知識を持っている人材として監査法人でも働くことができます。
監査法人では、USCPAを活かしてグローバル展開する企業の監査や、外資系のクライアントなどを担当するチャンスが多いと思います。
監査法人でのキャリアは、専門性が高く、日本の公認会計士と連携する中で非常に多くのことを学び、専門性を磨きながら成長できます。
事業会社
事業会社では、経理・財務部門や内部監査部門などで活躍することができます。事業会社でのキャリアは、経験がある業界では即戦力として活躍できると思います。
転職しなくてもUSCPAを社内でアピールすることで、営業から経理など社内でキャリアチェンジするきっかけにもなるでしょう。
FAS
FASはファイナンシャルアドバイザリーサービスの略で、M&Aや企業再生などの金融関連のコンサルティングを行います。USCPAで学ぶ知識は企業分析やデューデリジェンスなどの業務で活きてくると思います。
FASでのキャリアは、高度な金融知識や戦略的思考力を必要とするため、金融機関やコンサルティングファームでの経験がある方は特に親和性が高いです 。
コンサルティングファーム
USCPAは会計・財務分野におけるコンサルティングを行う企業、部署でも活かせます。監査法人のアドバイザリー部門も近い選択肢になりますが、より経営戦略などの支援に関わっていきたい方にとってはUSCPAを活かしながらコンサルティングファームで働くと良いでしょう。
外資系企業
外資系企業は、海外本社や現地法人と英語でコミュニケーションが必要になります。USCPAは英語力と国際的な会計基準の理解を証明することができる資格ですので、外資系企業からは高く評価されると思います。特に外資系企業の経理・財務系の職種でUSCPAが活きる場面は多いでしょう。
どのキャリアにおいてもUSCPAを活かすには、会計・税務などのプロフェッショナルとして、専門的な知識やスキルを磨いていくことが重要です。自分の目指す方向性や適性に合わせて多様な選択肢を持てるところが魅力ですね。
まとめ
USCPAとは、
- 米国の公認会計士資格
- 日本で独占業務はないが監査法人などで働ける
- 会計や監査だけでなく、ビジネス全般について広く学ぶ
- 合格率は日本の公認会計士より高い
- 勉強時間は1,000〜1,500時間
- 日本人でも出願しやすい州があり、日本で受験可能
- キャリアパスは監査法人や経理、外資系企業など様々
USCPAは会計の専門性を高めたい人やキャリアの選択肢を広げたい人におすすめの資格です。
興味がある人はぜひ挑戦してみてください!