中小企業診断士という資格に興味がある人は多いと思います。
実際に、日本経済新聞の「ビジネスパーソンが新たに取得したい資格ランキング」で1位を獲得するなど、その注目度の高さが伺えます。
中小企業診断士って名前は聞いたことあるけど何をするの?
なるのは大変なのかな?
中小企業診断士に対してそんな疑問を持っている人は多いんじゃないかな?
現役中小企業診断士の がお が徹底解説するよ!
中小企業診断士とは
中小企業診断士は、経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格です。
中小企業の経営課題について分析や助言を行い、課題解決に導く役割が期待されます。
税理士や社会保険労務士のような他の国家資格と異なり、中小企業診断士の独占業務はありません。
それゆえ、中小企業診断士としての仕事の幅は非常に広いです。
ダブルライセンスで「○○に強い診断士」としてアピールする人が多いのも特徴です。
中小企業診断士の仕事内容
中小企業診断士は、中小企業のクライアントに対し、経営面についての相談に乗ったり、クライアントが抱える問題点を分析して課題解決の手助けを行います。
専門的な知識を基に現状分析を行い、企業の成長戦略についてアドバイスをすることが主な仕事になりますが、その成長戦略が実現できるように実行支援も幅広く行います。
主な実行支援の例としては
- 経営計画の作成
- 行政や金融機関とのパイプ役になる
- 中小企業支援政策などの活用支援
このように、アドバイスだけでなく経営者のそばで実行支援まで幅広いサポートを提供するのが中小企業診断士の特長と言えます。
その他にも、経営方法に関するセミナーの開催、経営に関する本や出版物等の執筆活動など、活躍の場は広く、各々の強みを活かした差別化が図られていると感じます。
経営戦略を考える中小企業診断士は、自分自身の分析と戦略策定も自然とできてしまうんでしょうね。
「経営に関しての勉強をしたい」「社会人としてキャリアアップをしたい」「経営者として独立をいつか考えている」といった人にはピッタリな資格です。
中小企業診断士の資格を取得するには
中小企業診断士の資格取得には、主に4つのステップがあります。
- 第1次試験
- 第2次試験(筆記試験)
- 第2次試験(口述試験)
- 実務補習、実務従事
試験勉強としては、7科目のマーク式試験である1次と4科目の論述式試験である2次(筆記)に焦点を当てていくことになります。
試験合格のみでは中小企業診断士を名乗れないことに注意!
受験資格
中小企業診断士1次試験の受験資格はありません。
学歴の要件や実務経験年数、年齢などは定められていないので、どなたでも受験することができます!
2次試験は受験資格が定められていますが、条件は
・2次筆記試験:1次試験に合格していること
・2次口述試験:2次筆記試験に合格していること
ですので、1次試験から順に受験、合格と進めば特に受験資格を意識する必要はありません。
受験資格で要件が定められていないということは、どなたにでも中小企業診断士になれるチャンスが開かれている、ということです。これも中小企業診断士の大きな魅力の一つですね。
試験時期
中小企業診断士の試験は年1回です。
例年、8月頃に1次試験、10月頃に2次筆記試験、1月頃に2次口述試験が行われます。
令和6年度の試験日程、合格発表日は以下の通りです。
1次試験 | 令和6年 8月3日(土)、8月4日(日) |
1次試験合格発表 | 令和6年 9月3日(火) |
2次試験(筆記) | 令和6年 10月27日(日) |
2次試験(筆記)合格発表 | 令和7年 1月15日(水) |
2次試験(口述) | 令和7年 1月26日(日) |
2次試験(口述)合格発表 | 令和7年 2月5日(水) |
日程に関する詳細は必ず中小企業診断協会の公式ページを確認するようにしてくださいね!
勉強時間
中小企業診断士の資格取得にかかる勉強時間は800~1000時間程度と言われています。
約1000時間の勉強時間を確保すると想定した場合の内訳は以下のようになります。
- 1次試験:800時間程度
- 2次試験(筆記):200時間程度
- 2次試験(口述):数時間
勉強時間の大部分を占める1次試験が大きなカギを握ります。
科目ごとの得意不得意があるので一概には言えませんが、基本的には2次試験との関連性が高い科目に勉強時間を割いていくと良いでしょう。
2次試験と特に関連性が高い科目は、企業経営理論、財務・会計、運営管理の3科目です。これらを優先的に進めると2次試験の勉強が少し楽になります。
また、以下のような経験がある人は学習時間を短縮できると思います。
- 簿記の勉強経験
- 大学の経済学部や経営学部、法学部、情報系学部出身
- 経営企画や経営コンサルティング業務の経験
- 工場などでの現場管理の経験
- IT企業勤務
がおは大学生で試験を受けたけど、運営管理とかは実務経験がないと具体的にイメージしずらくて苦戦しました。
社会人は仕事内容によってはかなり知識を活かせると思います。大学生で受験する場合でも、大学の授業と同時並行で進めることができる科目があれば、かなり効率よく資格の勉強と単位の取得を進められます。
勉強内容が幅広い資格だからこそ全ての範囲が初見ということは稀なので、自分のバックグラウンドが活かせる科目を探して勉強を進めると良いと思います。
費用
中小企業診断士の資格取得までにかかる費用は独学か予備校等を活用するかで大きく変わります。
独学の場合は23万円程度、利用するサービスによって異なりますが、予備校等を活用する場合は24〜50万円程度になります。
費用の内訳は以下の通りです。
独学 | 予備校等利用 | |
---|---|---|
予備校代 | 0円 | 50,000~300,000円 |
テキスト代 | 30,000~50,000円 | 0円 |
1次試験受験料 | 14,500円 | 14,500円 |
2次試験受験料 | 17,800円 | 17,800円 |
実務補習 | 150,000円 | 150,000円 |
合計 | 220,000~240,000円 | 240,000~500,000円 |
上記は、実務補習を受講する想定のものになるので、知り合いの中小企業で実務従事をさせてもらえる場合は少し費用を抑えられるかもしれません。
独学は予備校等を利用するよりかなり費用を抑えられますが、学習計画を自分で考えたり、学習中の疑問点を自力で解決する必要があるため向き不向きがあります。
充実した講義を受けられたり学習スケジュール管理をしてくれたり、予備校や通信講座を受講するメリットは大きいです。最近ではスタディングなど独学とほとんど変わらない安さで品質の高い通信講座が増えているので、選択肢に入れてみてください。
がおは学生時代に独学で勉強したけど、社会人になって挑戦するなら通信講座などを利用して学習効率を上げたいと思うかな。
中小企業診断士の年収やキャリアパス
年収
中小企業診断士の平均年収は、約500~800万円程度と言われています。中小企業診断協会の調査では、1,000万円以上と回答した人が34%を占めており、かなり高収入であることが伺えます。
また、中小企業診断士は独立して開業する「独立診断士」と、企業に所属しながら活動する「企業内診断士」がいます。同調査では独立診断士と企業内診断士の割合は半々くらいになっています。
上記の中小企業診断協会の調査はコンサルティング関係の収入で測っているため、企業に勤める方の収入とは少しギャップがあると思います。企業内診断士の中にはコンサルティング以外の本業から収入得ている人も多いと考えると、さらに平均年収は高くなるかもしれません。
キャリアパス
キャリアパスについては、以下のような選択肢が考えられます。
- 独立開業
- 社内でのキャリアアップ
- 副業
- 転職
- リタイア後に活用
独立
中小企業診断士は、資格を活かして独立開業することができます。実際に資格保有者の約半数が独立診断士として活動しています。
他の士業と異なり独占業務がないため、独立する場合はどのように差別化するかが重要となります。
これまでの経験や他の資格と組み合わせるなど、自分だけの色を出して強みを確立することが独立開業への第一歩になるでしょう。
社内でのキャリアアップ
中小企業診断士は社内でのキャリアアップにも活用できます。
資格取得の過程で経営全般に関する知識を習得しており、実務も経験している中小企業診断士は企業内でも重宝されます。
特に経営企画や新規事業の立案など、より経営に近いポジションでそのスキルを活用できます。資格を取得したらぜひ社内にアピールしてキャリアアップを目指しましょう。
副業
中小企業診断士の資格を以下のような副業に活かすこともできます。
- 経営コンサルティング
- 補助金や助成金の申請
- 資格関連スクールの講師や添削指導
- セミナー講師
- 本やブログ記事の執筆活動
資格の更新には一定程度実務従事が必要ですので、副業として経営コンサルティングができると一石二鳥です。
補助金や助成金の申請に伴うコンサルティングも同様に更新要件を満たしながら活動できる副業と言えるでしょう。
セミナー講師や記事の執筆など活動は、忙しい会社員が単発で行うこともでき、自分のペースで活動できるため、本業が忙しい方にも取り組みやすいと思います。
転職
転職市場でも中小企業診断士は高く評価されます。
具体的な転職先としては、
- コンサルティングファーム
- 一般企業の経営企画
- 公的機関
- 金融機関
中小企業を主なクライアントとするコンサルティングファームでは試験勉強や実務補習で得た知識、経験を大いに活用できます。
また、試験を通して経営全体を見る目が養われるので、一般企業の経営企画などでも需要があるでしょう。
商工会議所や中小企業基盤整備機構といった公的機関や銀行などの金融機関でも中小企業の課題解決をサポートする人材として重宝されると思います。
リタイア後
中小企業診断士の資格はリタイア後のキャリアにも活用できます。
コンサルティングという仕事は、知識だけではなく経験に基づくアドバイスができることに非常に価値があります。
リタイア後の方は、長年の社会人生活で経験してきた様々なノウハウが蓄積している状態です。この強みはどれだけ知識を詰め込んでも獲得できるものではありません。
この豊富な経験は中小企業診断士の仕事と非常に相性がいいです。前述の通り中小企業診断士は独占業務がないため差別化が重要ですが、数十年で蓄積された豊富な経験は、それ自体が大きな差別化要因になります。年齢と経験を重ねるほど強みが強化されていくとも言えるのでいくつになっても活躍できる資格だと思います。
リタイア後に新しいキャリアに挑戦してみようと考える方にもおすすめの資格です。
まとめ
中小企業診断士についてまとめると
- 経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格
- 中小企業の経営課題を分析して解決に導く
- 資格取得には試験合格+実務要件を満たす必要あり
- 平均年収は500〜800万円程度
- 資格保有者の約半数が独立
中小企業診断士は働きながらの取得や独学での取得も目指せる資格です。
また、取得後もキャリアアップや転職、独立、副業と様々な選択肢があります。
経営について学びながら、将来の選択肢を増やしていきたい方はぜひ挑戦してみてください!